脱毛や薄毛と聞くと、頭皮の状態が良くないこと、また血行不良などが起きていること、そして男性の方であれば男性ホルモンと特定酵素の作用、女性であれば発毛や育毛に対して大きな役割を持つ女性ホルモン分の分泌量の低下などが原因であると考える人は多いかもしれませんが、実はこうしたこと以外にも、脱毛や薄毛の大きな原因になり得るものがあり、それが薬の存在です。病気などの治療のために服用する薬の、その副作用によって脱毛や薄毛が発症すると言うことはとても多く、これはその薬に含まれている成分が病気を引き起こしている特定の細胞や菌に対して強い効力を持っているからこそ、その分、健康な細胞などに対しての影響力も大きく、また毛母細胞はこの影響を受けやすいために出てきてしまう症状なのですが、こうした薬の副作用による脱毛や薄毛は薬害性脱毛症とも呼ばれており、病気を治療するためには薬を使用しなければならない、また長期間、薬を飲み続けなければならない患者さんにとっては重い精神的な不安、ストレスにもなっています。全ての薬において、副作用として脱毛効果があらわれると言うわけではなく、また当然、症状出現の有無や程度には個人差があるのですが、実際に副作用として薬害性脱毛症が出たことが報告されている薬の一例は以下の通りです。
まずは抗ガン剤で、この脱毛効果は成長期にある毛に対して働きかける作用がとても強いため、発症すると毛母細胞の活動や発毛サイクルそのものの乱れにもつながってしまう可能性が高く、これは抗ガン剤が、活発に分裂を繰り返す細胞に対して影響を及ぼす作用が強いためで、特に成長期にある毛母細胞は発毛や育毛のために活発に細胞分裂を繰り返しているために、抗ガン剤の影響を受けてしまいやすいのです。
そして各種肝炎治療などの際に使用されるインターフェロン剤もそのひとつで、投与が開始されてから1~2ヶ月後に始まり、3~4ヶ月後には脱毛効果が顕著にあらわれることが多く、治療が終了すると多くは数ヶ月の内に元に戻るとされていますが、服用者の年齢が高い場合は、その回復は遅いとされています。
そして副腎皮質ホルモン剤、いわゆるステロイドと呼ばれるような、アトピーやアレルギー性による皮膚炎や炎症を抑えるために使用される薬や、てんかん発作を起こさないようにするための薬、抗てんかん剤にも脱毛効果が副作用としてあらわれることが報告されており、いずれも長期間にわたって薬を服用することで、副作用発症の可能性が高くなるとされています。そして抗パーキンソン剤や高脂血症用剤、ビタミンA製剤なども脱毛効果が認められている薬で、これらは成長期にある髪が抜けてしまう抗ガン剤と比較すると、休止期にある髪が抜けてしまうのが特徴で、またいわゆる市販の痛み止めなどの消炎鎮痛剤も、血管に働きかける作用があるため、場合によっては交感神経に緊張状態が強いられるため、そのことによって血行不良を招き、脱毛や薄毛と言った副作用があらわれることがあります。
薬の副作用による脱毛効果は、しかし、病気による治療が関係している以上、自分ひとりの判断で服薬を止めたり、その量を調節したりするのはとても難しいことですから、薬害性脱毛症の治療方法に関しては、まずは主治医への相談を行うことが重要です。健康を保つために薬を飲み続ける必要がある場合は、薬を中断したり、その量を減らすと言うのは難しいことですが、何種類かの薬がある場合は、その種類によっては副作用の症状が緩和されると言うこともありますから、その点も含めて、じっくりと話し合うことが必要です。また、病気の治療に意欲的に取り組むためにも、薬害性脱毛症の悩みを少なくすることはとても大切なことですから、服用している薬を見直すことが難しい場合は、医療用のウィッグを上手に利用して気分転換をはかると言うのもひとつの方法です。
なお、薄毛の根本の原因が薬の副作用か否かを見極めることは、素人では非常に難しいという状況があります。必ずAGAや薄毛の医療機関や病院の専門医に相談して判断を仰ぐようにしてください。また、AGA専門医は非常に多くの数が存在しています。正直あまりオススメでない悪徳なクリニックもあるのが事実です。