薄毛や抜け毛の原因には色々なものがありますが、一つではなく複数の要因が複雑に絡み合って症状が現れていると言われていますので、対策を行いたいと考える場合には幅広い面からアプローチしていくことが大切です。
その中の一つに過剰皮脂分泌というものがあり、毛母細胞の働きに影響を及ぼすほどの皮脂を分泌してしまう症状があるのですが、この症状にはホルモンのバランス異常や外的環境などいくつかの要因が考えられており、季節によっても変化が生じるためにケア方法をこまめに見直さなければなりません。
皮脂の過剰分泌をそのまま放置してしまうと、皮脂が酸化して雑菌が繁殖しやすい状態になり、免疫が低下した時に毛穴が化膿してしまうこともありますし、化膿するまでには至らなくても赤みを帯びた炎症を引き起こすケースもありますので、皮膚の正常な常在菌以外はきちんと毎日のシャンプーで洗い流すように心がけることが大切です。
過剰皮脂分泌には、男性ホルモンの分泌が増えたり湿気の多い季節であったりと様々な要因が関係していますが、思春期の世代が発症するケースでは精神的不安定要素が引き金となって症状が引き起こされることもあります。
もちろん、不規則な生活習慣が絡んでいるケースもたくさんあり、その場合には日頃の生活習慣を改めなければ症状の改善は望めないのですが、炎症が酷かったり皮脂分泌が多すぎるせいで日常生活に支障をきたすようになったら、生活の改善とともに適切なケアを行わないと髪の毛の健康を損ねてしまいます。
自宅で行えるケアとしては、シャンプーの際に必要な皮脂は残しながら余分な皮脂や汚れをその日のうちにしっかりと落としたり、皮脂の分泌を抑制してくれる成分を含む育毛剤を塗布することなどが有効です。
炎症を起こしていたり、化膿している箇所が見られる場合には、できるだけ負担のかからないケアに徹して様子を見てみるようにし、万が一症状が長期間治まらなかったり、かえって悪化してしまったりする場合には、医療機関を受診して適切な治療を開始する必要があります。
過剰皮脂分泌の治療方法に関して覚えておかなければならないことは、炎症や化膿の原因となっている皮脂汚れをきちんと除去して頭皮を清潔な状態に保ちながら、皮脂の分泌量もコントロールしていかなければならないという点です。
実際の治療には外用抗真菌剤やステロイド、抗ヒスタミン剤、ビタミン製剤などが使用され、一定の効果が認められている漢方薬が処方されることもあります。
外用抗真菌剤は、通常誰もが保持しているが皮脂の多い部分で増殖すると皮膚炎を引き起こしてしまうマラセチア真菌を退治し、ステロイドにはマラセチア真菌を退治する作用はありませんが、炎症のひどい部分を強い作用で鎮めることができます。
抗ヒスタミン剤は内服薬であり、かゆみや炎症の強い場合に処方されることが多く、ビタミン製剤はビタミンB群の作用を利用して皮脂代謝が正常になるように促します。
症状が比較的軽い場合には、抗ヒスタミン系外用薬や外用ステロイド、抗真菌剤の含まれているシャンプーなどの市販されているもので改善されることもあるのですが、ケアを続けているうちに症状が悪化してしまったら急いで医療機関を受診して医師の判断を仰がなければなりません。
皮脂の分泌量には元々個人差があり、一度治療をして治ったにも関わらず何度も再発してケアを行わなければならない事態に陥ってしまう人もいるのですが、皮脂の分泌量を正常な状態に戻すためには体の内側と外側からの両方のアプローチが必要であり、医療機関を受診するということ以外にも日常生活を見直すなどの対策が必要となります。