「円形脱毛症」は、年齢や性別に関係なく起こる脱毛症で、一般的な男性型脱毛症(AGA)とは原因が全く違うため、異なった脱毛症として区別されることが多いですが、では一体円形脱毛症はどのような原因で起こり、どのようにケアしていけば良いのか、円形脱毛症の特徴などから、発症原因とケア方法を学んでいきましょう。
円形脱毛症は、通称「十円ハゲ」とも呼ばれ、頭に十円玉程度の大きさの脱毛箇所ができてしまう「自己免疫疾患の一つ」であり、この脱毛症はいくつかのタイプに分類され、それぞれできる箇所や脱毛症状に違いが見られます。
円形脱毛症ができ進行中の場合には、その部分の毛は簡単に抜け落ちてしまったり、毛がもろくなり抜けた毛の先端はカットしたかのように鋭くとがっていることが多く、患者の中には髪の毛や体毛の他に爪に横筋が入ったり、小さなへこみが無数にできる場合もあり、これは毛の性質と爪の性質が似ているからです。爪にこうした症状が現れたら、円形脱毛症ができている可能性もあるため、鏡でチェックしてみましょう。
円形脱毛症の種類としては、単発型・多発型・多発融合型・全頭型・汎発型の5タイプに分類でき、単発型は、円形脱毛症の中で最も多い症状とされ、初期症状では前触れなどは一切ないのにもかかわらず、頭部に丸く脱毛部分ができる状態をいいます。大きさは患者により様々ですが、大体十円玉程度の大きさが多く、脱毛が起こる前兆では、かゆみが起こったり大量のフケが生じたりするケースもあり、このような自覚症状が現れたら注意が必要ですが、単発型は60%の割合で自然治癒することが多いですが、一方で他のタイプに移行する場合もあります。
多発型は、脱毛箇所が2つ以上になった状態を指し、単発型が進行した症例でもあり、場合によっては脱毛箇所が結合して大きくなったり、髪の毛に限らず体中のあちらこちらにできる場合もあります。
多発融合型は、更にびまん性と蛇行性の2タイプに分けられ、びまん性は頭の全体部分で平均的に髪の毛が大量に抜け落ちる症状で、治りにくい難治性の一種で、蛇行性はその名の通り、蛇が這ったようにくねくねとした形に抜け落ちる症状を言い、特に幼児に多く見られます。
全頭型は、多発型が進行した状態で脱毛箇所がいくつにも重なってしまい、髪が全て抜け落ちてしまう症状を指し、近年女性に多く発症しており、また汎発型は、ひげ・すね毛・陰毛など全身の体毛が抜ける症状で、治癒の見通しが立たないため悪性円形脱毛症などとも呼ばれています。
これらの症状が起こる原因としては、本来ならば体を守るための機能である「CD8陽性Tリンパ球」が、毛根部分にあるメラニンに関連するタンパク質である自己抗原に、誤って攻撃することでそのタンパク質が自己免疫反応を引き起こすことで発症すると考えられており、その治療方法に関しては、セラファンチンと呼ばれるアルカロイド医薬品の内服・ブロック注射、ステロイド剤の局所注射や内服、免疫抑制剤、PUVA療法(紫外線療法)、局所免疫療法などがありますが、セラファンチン治療は日本独自の治療法で海外では採用されておらず、また免疫抑制剤はその効果が確立していないため、この治療のガイドラインでは推奨されていません。
円形脱毛症は、かゆみや痛みといった毎日の生活に影響を及ぼすことが少ない症状であるため軽視されがちですが、本人にとっては性別を問わずとてもショックが大きく神経症を患うこともあり、酷い場合には視線恐怖症や対人恐怖症、うつ病などの精神疾患に至るケースもあるため、頭皮の治療と共に精神療法なども並行して行っていく必要がある、決して軽視できない脱毛疾患です。